南予の郷土料理

大皿での宴席料理と言えば、土佐の皿鉢料理が有名ですが、愛媛西部(南予や西予あたり)にも同様の形式が伝わっています。私の家では「鉢肴(はちざかな)」と言っていますが、「鉢盛料理」と呼ぶところもあるようです。

てんこ盛りになった、数え切れないほどの種類のご馳走の中でも、私のお目当ては「ふくめん」。千切りにしたこんにゃく(糸こんでOK)を乾煎りして、みりんや醤油で味付けして皿に敷き詰め、それを覆い隠すように、みじん切りにしたミカンの皮、でんぶ(食紅でピンクにしたもの)、ネギを、彩りよく模様を作るように載せます。(今回は祖母の米寿のお祝いだったので、伯母が「寿」の模様を作ってました。)

食べる時には、よーく混ぜていただくのですが、たっぷり入ったミカンの皮の香りとでんぶの旨みが相まって、なんとも複雑なハーモニー・・・。フレッシュなミカンの皮をこんな風に使う料理って、珍しい気がします。

みがらし(和芥子を溶いた酢味噌)でいただく「ふかの湯ざらし」も、宴会の主役。こんにゃく、しめ豆腐、旬の野菜も一緒に盛られます。ふかは、ワニとも呼ばれ、サメのこと。強いて言えば、「はもの湯引き」に似ているかな。