ボリショイ劇場:ソローキン「ロゼンターリの子供たち」

ボリショイ劇場での23日初日を控えて、ウラジーミル・ソローキン脚本の新作オペラ(現代文学を題材にした新作としては30年ぶり)「ロゼンターリの子供たち」が、上演反対のデモが繰り返されるなど激しい論争を巻き起こしているという記事が、今日の朝日新聞に載っていた。

オペラの舞台は20世紀のモスクワ。ナチスドイツを逃れて旧ソ連に亡命したユダヤ人科学者ロゼンターリが、チャイコフスキーモーツァルトら音楽家5人のクローン(複製)を作り出す。ところが、ロゼンターリは旧ソ連崩壊直後に死亡。残された「子供たち」は混乱のモスクワでホームレスに。音楽の演奏や物ごいをして食いつなぐが、1人また1人と命を落としていく…。
 ソローキン氏は99年に発表した小説でスターリンフルシチョフの性交渉を濃厚に描写、保守派を絶句させた。オペラに露骨な性表現はないが、02年にボリショイ劇場から脚本の依頼を受けて以来、プーチン大統領を支持する愛国主義団体「共に歩む」などが街頭で抗議行動を展開してきた。
 22日のリハーサルでは「ブラボー!」の声が飛ぶ一方で「大統領に中止を直訴する」といきり立つ国会議員の姿もあった。


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